お待たせしました。メンデルスゾーン『スコットランド』とうとう第4楽章です。メンデルスゾーンがこの作品で表現したものとは。今まで撒かれた種たちがまるで映画の登場人物かのように大活躍するこの楽章、その大立ち回りを音源と楽譜画像でお伝えします。楽譜は音符を読むというより絵画のように印象を感じて頂ければ幸いです。
改めて登場人物の紹介
まずは、付点のリズム。第1楽章のヴィオラのテーマも彼でした。何かと目立つ存在ですね。以下”付点”と省略します。

ヴァイオリン群が放つテーマは正に付点の嵐です。
ちなみに冒頭の16分音符は付点の鋭さを表したもの。自らの姿は現さずに性格だけは登場させるとは、できるヤツです。この部分を筆者のヴァイオリンとPCソフトのピアノで演奏してみました。
そして3連符。この人は音楽を不安定にさせたりフワフワガサガサ、いわゆる”雰囲気”を作り出すのが大得意です。

第1Vnの楽譜です。4段目後半から3連符がまるで主役のように出てきます。数字で3と書かれています。
それとなんといっても半音!

臨時記号で#が記されている箇所は全て半音。何度も顔を出す重要人物です。しかも付点と絡みながら出てくるなんて印象を残す天才です。
この曲が短調で書かれているのは半音を駆使したかったからではないか、と推測します。
第4の登場人物
そして、影に隠れながらも大きく存在感を示す4分音符。
4分音符というのは、まるで空気のような人物。いるかいないか普段はあまり気になりません。ですが4分音符がいることで付点の鋭さが目立ち、3連符の不安定な立ち位置が際立つ、絶妙な引き立て役として登場しています。画像1枚目のテーマでは伴奏、そして後半ではメロディ役として見事な一人二役を演じきっています。音源1つ目14秒目~の4分音符といったら、このように格好いい4分音符は滅多にいない(惚れそう)。
さて、ここで第1楽章を振り返ってみましょう。テーマは付点から始まるものでした。そしてこの『スコットランド』は2拍子と3拍子という相反するリズム同士の物語だったのです。それは朝と夜、白と黒……というような真逆でもありグラデーションも併せ持つ関係性。この2人はどちらが主役というのではなくどちらもメインキャラクターです。そこに独自のキャラクターを発揮し続ける付点。どちらにもぶれない強さ、それこそが鋭く感じられるのかもしれません。第2楽章では一旦大人しくなった彼らですが、第3楽章では雄大なその姿を表しました。
この4人の人物たちが激しく立ち回った先に行きつくコーダとは。次回とうとう『スコットランド』最終回にてお届けします!ご感想もお待ちしております。お問い合わせページからぜひお寄せくださいませ。
楽譜出典
Felix Mendelssohn, Symphony No. 3 “Scottish”(IMSLP)
※記事中の楽譜画像は解説のため一部を抜粋し、筆者が加工しています。
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