メンデルスゾーン『スコットランド』連載も5回目となりました。メンデルスゾーン《スコットランド》連載も5回目となりました。ここからはいよいよ後半、3・4楽章へ入っていきます。しかし、この曲は前へ進むために、常に過去を振り返らなければいけない、過去と未来が、同じ一粒の種から育っている作品なのです。
そこで、今回はまず彼の音楽を支えていたであろう絵画作品をご覧ください。風景画が特に有名で検索すると多くの作品が出てきます。その中から筆者が紹介したいのは白黒を基調としたスケッチ作品です。以下のサイトに、彼のスコットランド旅行中のスケッチが紹介されています。
https://www.mendelssohninscotland.com/mendelssohn-artist
これらの作品を見ていて筆者が感じたことは、この細かい筆致、特に山々の木々の葉や草、岩肌などを表す細かな筆致が彼の16分音符のようだということです。この16分音符たちは私たちが見ることができる自然界の恐らく最も小さな単位であり、世の中を形作る根源でもある。それが彼の音楽のベースとなっているような気がするのです。そして、彼にとっての洗練されたものとはまさにこの自然そのものだったのではないでしょうか。
さて、それを音楽に置き換えてみましょう。この曲全楽章においてとても重要な役割を担っている16分音符、その姿は主に付点のリズムで表れています。その活躍ぶりと言ったらまるで『真夏の夜の夢』のあの妖精パックのよう!目立つところにいるのはもちろん、気がつかない裏側にもいつの間にか潜んでいます。付点と言えば、1楽章の冒頭も付点で始まったことは覚えておいででしょうか(ぜひ1楽章記事をご参照ください)。

赤丸が付点のリズム。このリズムがないとなんと凡庸な音楽になることでしょう。
楽譜画像はイメージとしてご覧頂ければ幸いです。また、音源は筆者のヴァイオリンとPCソフトのピアノによる演奏です。
さて、以下の画像は3楽章に出てくる付点の種たちです。メインテーマが始まる前、青い丸はサブテーマとなり赤い丸は付点でもあり実は1楽章から顔を出す名脇役でもあります。それぞれ大樹のように育っていきます。前回からご紹介しているパーヴォ・ヤルヴィ指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団のYouTubeで20:51あたりからです。(下部に載せております。)

3楽章冒頭部分。メロディが始まる前奏のようなところです。赤丸は1st Vn、青丸は下からホルン、ファゴット、クラリネットが奏でます。
この名脇役、1楽章での活躍シーンはこちらでした(この件はこちらをご参照ください)。

このシーンの終わりが半音!この半音のニュアンスが彼の仕事です。
この付点のリズムを種として撒いておき、楽章を通して少しずつ大樹として育て上げるのがメンデルスゾーン流。この育ち方に次回も注目してお届けいたします。ご感想もお待ちしております。お問い合わせページからぜひお寄せくださいませ。
楽譜出典
Felix Mendelssohn, Symphony No. 3 “Scottish”(IMSLP)
※記事中の楽譜画像は解説のため一部を抜粋し、筆者が加工しています。
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