クラ・うら・俱楽部~メンデルスゾーンはなにゆえ洗練されているのか①

梅雨に入りましたね、これぞニッポンという空気のような気が致します。このジメジメの今にお伝えしたい音楽、それはメンデルスゾーンです。メンデルスゾーンと言えば爽やか優美な調べ。その洗練された雰囲気の理由はなにか?交響曲第3番『スコットランド』より第1楽章テーマを紐解きながらお伝えします。今回も音源と楽譜画像と共にお楽しみください。演奏は筆者のヴァイオリンとPCソフトのピアノの音です。今回のテーマ、それは”半音の使い方”。

ではこの曲のテーマをお聴きください。冒頭のヴィオラが奏でる旋律は実はここはまだ序奏の部分、なので本当の意味でのテーマはそのあとで出てきます。ですがまずヴィオラのテーマから。

ヴィオラのテーマですがヴァイオリンの音域でもあったので筆者が演奏しています。

それでは、序奏が終わった本編のテーマ。

ほんのりとした切なさ。個人的にはソロを弾くよりこういった音楽のほうがより気を遣います。下の譜面画像にあるスラーやスタカートも全て音楽の一部で音符と同じくらい大切な要素だからです。

どことなく似ている雰囲気がしませんか?楽譜画像をご覧頂きたいのですが、まずヴァイオリンが弾く本編のテーマ。これがこの曲の主役であり、序奏では簡素化してあります。見た目もヴィオラのほうがゆったりとして見えますね。もしかしたらメンデルスゾーンはこの序奏をオペラの序曲のように考えていたのかもしれません。オペラの序曲というのは作中に出てくる要素をてんこ盛りにしたまるで作品紹介のように書かれることが多いのですが、それを思い起こさせるような雰囲気です。序奏と本編は別の旋律のようでいて、実は同じ種から生まれたもののように感じられます。

ヴァイオリンが奏でるテーマ。主に半音とアルペジオで書かれています。

ヴィオラのテーマ。パートの中で2つの旋律を奏でるように書かれています。

このヴァイオリンとヴィオラでは音部記号が異なりますが、音楽の流れが重なるところを記してみました。赤丸で囲んだ箇所が重なる部分です。

メンデルスゾーンの楽譜は美しいのですが、私の丸は少々個性的です。

左から1つめの赤丸は”ミ”の音。その次の囲んでいない音は”ファ”。この旋律は揺れ動く半音から始まります。そしてこの始まりがこの曲全体の種になっているのではと思うのです。

そういえば、ヴィオラのテーマのあとに続くヴァイオリンの切なくも美しい旋律たちも半音だらけでした。

音符が階段を1段上がったり下がったり。半音って見た目にも揺れ動いています。

楽譜画像の中盤右のあたりAと書かれた箇所から弾いています。

この半音の動きはヴィオラのテーマとなんら関わりがないように見えて、実はそうではありません。この音源でちょうど30秒あたりは正にヴィオラの出だしと同じリズム。序奏の部分だけでここまで音楽を精緻に作りこむことができるのがメンデルスゾーンの天才たるゆえんですね。

普通は半音を多用するとちょっとねっとりとした絡みつくような印象になるものですが、それを切ないけれども重くない(なんだか恋愛談義のよう)使い方ができるのがメンデルスゾーンです。なぜそんなことができるのか?それはこの旋律を形作っているリズムとも大きな関係があります。そのリズムについては次回お伝えしましょう。かなりの大作ですので、メルマガとしてもなかなかの大作になりそうです。次回お届けは6/24予定です。

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