メンデルスゾーン『スコットランド』第1楽章。いよいよ佳境に入ってまいりました。今回は前回、前々回の内容を踏まえてこの曲の特徴的なことについてお伝えします。今回もヴァイオリンは筆者の演奏、ピアノはPCソフトの音ですが、その前に演奏を1つご紹介いたします。お時間がおありの方はぜひ演奏をお聴きの上本記事をお読みください。きっとより深くメンデルスゾーンのまいた種を見つけられることと思います。
とても柔らかい表現に透明感のある音色でメンデルスゾーンの種がよく見えてくるかのような素晴らしい演奏です。比べると筆者の演奏はマジメすぎるかもしれません。
縦と横の性格
それでは前回もご紹介したヴァイオリンのテーマ。今回はチェロパートをピアノで足してみました。動画では3:48あたりからです。
ここでも縦の性格と横の性格が見えてきます。以下はこのテーマのスコアですが、見た目の印象を感じていただければ幸いです。

スコアより弦楽器パートのみ抜き出しました。1番上の段が1st Vn、下から2段目がチェロです。
チェロのパート譜がこちら。

3段目「ここまで」がこのテーマです。この3段目からはチェロパートの中で上と下に分かれて演奏するため2段で1つのパートとして書かれています。
小節という小箱の中にスラーがある音、ない音。ある音は横に流れる雰囲気、ない音は2拍子の縦の雰囲気です。このテーマに縦と横の2つの性格があるということは、この曲全体がそうだと言えるでしょう。
締めは半音
テーマだけではなくもっと先も見てみましょう。動画4:34あたりからを聴いてみると2つ取り、つまり2拍子の感じが強い印象です。そして”締め”は半音!

「ここから」の次の小節から弾いてみました。動画4:50あたりです。
もっと先の嵐のような場面、動画14:32あたり453小節目からです。

3小節目からは16分音符2つを1つのように書かれています。これは省略した書き方。
そしてこの嵐の場面は半音半音半音だらけ!ですがよくご覧いただくとここに縦の動きが隠れています。どこかな?またまた顕微鏡で拡大してみましょう!

上の楽譜の2段目から。筆者の個性的な赤丸をご堪能下さい。
赤丸で囲んだ2か所はなんと8分音符、ここは16分音符ではありません。この嵐の場面はほぼ半音の動きで書かれていますが、半音というものはまるでグラデーションのようで音の違いがはっきりしないのです。そのぶん横に流れやすい雰囲気になり、それをせき止めるかのような8分音符!この8分音符が要所にあることで、奏者も拍子を意識するので流れすぎない演奏となるのです。正にメンデルスゾーンが指揮者でもあったことが多いに活かされている書き方だと思います。そして何と言ってもここの締めも半音だ!この半音がこの1楽章終盤にも印象的に用いられ、終楽章に至るまで大きな影響力をもっています。
3回に分けてこの1楽章についてお届けしましたが、まだまだこの曲は続きます。次回は2楽章!『クラ・うら・俱楽部』はこの夏を『スコットランド』に捧げます!ご感想もお待ちしております。お問い合わせページからぜひお寄せくださいませ。
楽譜出典
Felix Mendelssohn, Symphony No. 3 “Scottish”(IMSLP)
※記事中の楽譜画像は解説のため一部を抜粋し、筆者が加工しています。
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