豊潤の秋。この10月はモーツァルト《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》について前後編でお届け致します。モーツァルトの中でも非常に演奏機会の多いこの曲、愛される理由について楽譜画像と演奏音源でお楽しみください。演奏は筆者によるヴァイオリンです。
では早速楽譜を見てみましょう。

楽譜画像は絵画のように印象を感じて頂ければ幸いです。
上の段があの有名なメロディ。ヴァイオリンからチェロバスまで同じ動きをしています。ユニゾンですね。
このユニゾンというのが、音楽では非常に有効な形。モーツァルトの有名な作品では交響曲第25番、第41番もユニゾンで始まります。

第25番冒頭、あの鮮烈なシンコペーション。オーボエが全音符ですが音は弦楽器群と同じです。

第41番冒頭。ホルン・トロンボーン・ティンパニは4分音符ですがこれもほぼユニゾンと言えるでしょう。
このユニゾンがなぜ強力なのかというと、同じ音で同じリズムというのがものすごく聴きやすいからなのですね。高さの違いはありますが、むしろ違う高さで同じ音を発していることでより強烈に聴こえます。そのぶん単純とも言えますが、単純さを押し出せるってすごい。聴く人を選ばないという印象を受けます。
顕微鏡で覗いてみましょう。

1st Vnを抜き出してみました。
赤線→4分音符
赤丸→4部休符
青線→8分音符
青丸→8分休符
この4つで構成されています。
このメロディは正に単純さを極めたといっても過言ではないくらいシンプル。中でも青丸で囲んだ8分休符が効いています。
弾き比べてみました
まず楽譜通りに弾いてみます。
次に、8分休符を音符にしてみました。
音符をスラーで繋げてみました。
比べてみると8分休符があることで、前後の音符が引き立つことが分かります。音の形がくっきりと浮き上がってくるかのようです。上述の2つの交響曲と比べても、シンプルさが際立っていますね。よくぞここまで思い切った!という感じです。このシンプルさは秋の新米で握った塩むすびかのようでしょうか。美味しいお米、水、そして旨い塩。この奥深さについてはきっと皆さまお口の中でご想像頂けることでしょう。それだけ選び抜かれた8分休符なのです。
とは言え、さすがモーツァルト。この曲が愛される理由は他にもあるようです。その理由については次回お届け致します。
楽譜出典
Eine kleine Nachtmusik, K.525 (Mozart, Wolfgang Amadeus)(IMSLP)
※記事中の楽譜画像は解説のため一部を抜粋し、筆者が加工しています。
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