クラ・うら・俱楽部

クラ・うら・俱楽部~チャイコフスキーの場合~

クラシック音楽の裏側をコッソリ教えちゃう無料メルマガ『クラ・うら・俱楽部』。このお試し記事ではチャイコフスキー『白鳥の湖』での体験をご紹介します。

悪魔ロットバルトによる呪いの悲劇、ついでに筆者にも悲劇的だったあの日。

それはある音大指揮科の試験で学生が指揮をする本番でした。曲目は『白鳥の湖』組曲。

リハも当日のみ、1日に何人もの学生の指揮で演奏します。同じ曲を。

悪魔ロットバルトは姫君オデットを永遠に白鳥の姿にしておきたくてたまりません。そこに真実の愛で立ち向かうオデットと王子ジークフリート。あの有名なオーボエの旋律は姫君の心からそして戦いへどんどん形を変え、弦楽器の中でも特にヴァイオリンはメロディから伴奏、雰囲気作りと出番はひっきりなしです。そして来たぞラスト、クライマックスの戦闘シーン!深夜の湖畔、悪魔VS人間の愛のバトル!愛よ呪いに打ち勝て!指揮科の彼らの想いを弓に乗せるんだ!そうして戦いは終わり主人公たちは夜明けを迎え……私たちの本番は終わらない。次の学生、もちろん物語の最初からです。えっ回復が間に合わないよ。指揮科は普段の授業ではピアノを指揮して学ぶことがほとんどで実際のオケを振れる機会は多くない、弾くほうは1つも気が抜けない、私たちの演奏で成績に影響が出たら元も子もないもの、フォルティッシモ!!!そうして戦いの度疲弊していく弦楽器たち……バレエではジークフリート王子がロットバルトの羽根をもいで飛べなくさせるけど私の腕もまるでもがれたかのように使えないよ……そしてまた次の試験へ……金管バーン!

当時はまだお仕事を始めて間もなくて、弾く要領も悪かったのですがそれにしても同じ曲を1日に何度も弾くものじゃありませんね。ギャラの3倍くらい弾いた気がする。ちなみに、曲目はこれだけでなくもう1曲と組み合わせて1人あたり大体40分くらいの演奏時間だったような気がいたしますが、疲れすぎてもう1曲がなんだったか学生さんが何人だったかも記憶にございません。

メルマガ『クラ・うら・俱楽部』ではこんな裏側を隔週でお伝えしていきます。

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クラ・うら・俱楽部~モーツァルトの場合①

長らくお待たせしました『クラ・うら・俱楽部』。初回はモーツァルトから始めることに致しました!ヴァイオリニストにとってモーツァルトと言えば鬼門。モーツァルトと言えば試験。「明るくて爽やかなイメージだよね♫」そう思われるように弾くことに命を賭けております。あぁ、でもモーツァルトにそんな必死さは似合わないんだ!2回に分けてお届けいたします。ググってもなかなか出てこない裏側をお楽しみください。

うん、モーツァルトはですね、難しい。もうこの一言に尽きます。きっとプロの方々でモーツァルトを簡単だと言う方はいないんじゃないかなぁ、超絶技巧というわけではないですけどね、でも超絶技巧が弾ける腕でないと弾けないような気がします。

で、この難しさをどうやったらお伝えできるか悶々と悩んでおったわけですが、あれです。

例えて言うなら丁寧に出汁をとった和食!あと女性で言えばナチュラルメイク!時間と手間がかかることで女性陣には有名ですね!あとパーマがいらないツヤツヤストレートヘアとか!こんなことを言うと、あの美しい響きになんて下世話な言い方するんだ、と叱られそうです。が、モーツァルト自身だって下世話お下品大好きだもんね、あの人ってドギツイ内容をとってもチャーミングに愛らしくさぞかし美しくお皿に載せる天才でもあったのです。もちろん全てがそうではないけど、その人間性を理解していないともうこのギャップには耐えられない……ここでは彼のお下品さを取り上げることは致しませんが(筆者の好みではない)、映画『アマデウス』には上手に描かれています。この映画、演奏も良いのでぜひご覧ください。ちなみに、筆者は出汁は昆布を水に浸けて終わりです。旨い和食は永遠にできない。残念なところで次回は11月26日配信です!

モーツァルトもユア・オーケストラで指揮してもらいたいから良かったらTシャツで応援してください!「クラシック黒作曲家シリーズ」1枚4,000円からです!このモーツァルトの画像からショップへリンクしています。