指揮

さて、前回ベートーヴェンから蔑まれた我らヴァイオリニスト群です。テーマは「楽譜の向こうから時空を越えてケンカ売ってくる!!!」

皆様、覚えていらっしゃるでしょうか。楽聖がヴァイオリニストに言い放ったあのセリフ。そう「音楽の精霊が語りかけてくるときに、君の哀れなヴァイオリンのことを考えていられるか」です。なんてこと言うんだ!私はともかく、ヴァイオリンがかわいそうじゃないか!

この方、なかなかお口が悪くて、

実際お貴族様に「俺の音楽のほうがお前らより上だ」って直接のたまったり(ケンカ売ってる)、その舌の根っこが乾かないうちに身分の低い女中さん方を散々差別したり(平民の我らきっとケンカ売られている)、ピアノの下にトイレ壺置いて人様を閉口させたり(口より鼻が悪いんじゃ)。

だからね、こういう精神の人だからやはり楽譜からもありありと伝わってくるような気がするのですよ、難しかろうがなんだろうが弾け。やれないとか言うな弾け。泣く暇があったら今弾け、弾けないのはお前が悪いんだから弾け、みたいな!あぁっ楽譜で頬を殴られている!

その第九。全曲で1時間ほどかかる長い作品ですが、拳が暗雲を突き抜けるような出だしの1楽章、ひたすら挑発的な2楽章(絶対どこかにケンカ売ってる……)ときて締めの4楽章であの有名な『歓喜の歌』に入るわけです。で、これの3楽章がまるで天国のように優しく柔らかく穏やかなんですね。『歓喜』は天国の先にある。それを音楽で実現してしまっているんだからもう我らはやられっぱなし、生まれる前から勝負なんてできるわけないのに未来永劫までケンカを売られているわけです。勝負したかったんだろうな、腕力じゃなくて音楽で。

さて、そんな人類の遺産とも言える第九。長くて長いからあの超有名なところだけ切り取って1分少々にまとめてみました!演奏は筆者アイティのヴァイオリンだけの録音です。ハハッ、私もなかなか勝負するじゃないか!良かったらお聴きください。

クラ・うら・俱楽部~モーツァルトの場合②

クラシックの裏側をコッソリ教えちゃう『クラ・うら・俱楽部』。前回からモーツァルトの難しさをコッソリ訴えております。「あなたが下手だから難しいんじゃ。」えっ、今更そんなこと言わないで!

さて、そのモーツァルトの難しさって具体的にどこがどう?と訊かれるとなんといってもギャップに尽きるなぁと思います。平和で幸福そうな曲調が多いから弾くほうもそうなんだと思われちゃう。でもさ、幸福そうな響きとか綺麗な音ってまず何から始まるかというと”ちゃんと楽器が鳴る”なんですよね。歌であっても喉という楽器を鳴らすこと。ここが始まりです。で、楽器を鳴らすというのは大きな音を出すということでもあって、この大きな音というのはある意味乱暴さとも近い場所にあるのです。ほら「怒鳴る」って大きな声ですよね。我々は子どもの頃から訓練を受けてきているので、乱暴さを排除して大きな音を出すことも徹底的に身につけています。そこはね、ヴァイオリンだったら弓のコントロールとか弓のコントロールとか弓のコントロールとか音程音程音程音程(良い音程だと楽器が鳴りやすいんですよ~)。

で、モーツァルトってこのコントロールがすごく繊細で、例えばチャイコフスキーの濃厚な「うぅぉをををを!!!」みたいな表現をしたあとだとやりにくい。なのでたいていのコンサートの曲順はこういったモーツァルトみたいな古典派からスタートして後半にチャイコフスキーのようなロマン派をもってきます。だってチャイコフスキーだったらむしろ乱暴さも味わいの一つだけどモーツァルトにはそれは似合わない。どんなに理不尽な流れでも弓は丁寧に余韻はほんわかほんわか即次の出だしはパシッと、あぁ~っ間に休符が欲しいよ~……あれ、これ地味に技巧的?ほら出番だよ、超絶技巧!!!

これはまるで彼の”ドギツイ内容をとってもチャーミングに愛らしくさぞかし美しくお皿に載せる天才でもあった”ってその人間性とギャップ。それはこんなテクニカルなところにまで反映されているような気がいたします。

そんなモーツァルトもユア・オーケストラで指揮してもらいたいから良かったらTシャツで応援してください!「クラシック黒作曲家シリーズ」1枚4,000円からです!このモーツァルトの画像からショップへリンクしています。

クラ・うら・俱楽部~チャイコフスキーの場合~

クラシック音楽の裏側をコッソリ教えちゃう無料メルマガ『クラ・うら・俱楽部』。このお試し記事ではチャイコフスキー『白鳥の湖』での体験をご紹介します。

悪魔ロットバルトによる呪いの悲劇、ついでに筆者にも悲劇的だったあの日。

それはある音大指揮科の試験で学生が指揮をする本番でした。曲目は『白鳥の湖』組曲。

リハも当日のみ、1日に何人もの学生の指揮で演奏します。同じ曲を。

悪魔ロットバルトは姫君オデットを永遠に白鳥の姿にしておきたくてたまりません。そこに真実の愛で立ち向かうオデットと王子ジークフリート。あの有名なオーボエの旋律は姫君の心からそして戦いへどんどん形を変え、弦楽器の中でも特にヴァイオリンはメロディから伴奏、雰囲気作りと出番はひっきりなしです。そして来たぞラスト、クライマックスの戦闘シーン!深夜の湖畔、悪魔VS人間の愛のバトル!愛よ呪いに打ち勝て!指揮科の彼らの想いを弓に乗せるんだ!そうして戦いは終わり主人公たちは夜明けを迎え……私たちの本番は終わらない。次の学生、もちろん物語の最初からです。えっ回復が間に合わないよ。指揮科は普段の授業ではピアノを指揮して学ぶことがほとんどで実際のオケを振れる機会は多くない、弾くほうは1つも気が抜けない、私たちの演奏で成績に影響が出たら元も子もないもの、フォルティッシモ!!!そうして戦いの度疲弊していく弦楽器たち……バレエではジークフリート王子がロットバルトの羽根をもいで飛べなくさせるけど私の腕もまるでもがれたかのように使えないよ……そしてまた次の試験へ……金管バーン!

当時はまだお仕事を始めて間もなくて、弾く要領も悪かったのですがそれにしても同じ曲を1日に何度も弾くものじゃありませんね。ギャラの3倍くらい弾いた気がする。ちなみに、曲目はこれだけでなくもう1曲と組み合わせて1人あたり大体40分くらいの演奏時間だったような気がいたしますが、疲れすぎてもう1曲がなんだったか学生さんが何人だったかも記憶にございません。

メルマガ『クラ・うら・俱楽部』ではこんな裏側を隔週でお伝えしていきます。

ご登録はユア・オーケストラ公式ショップページもしくは公式LINEから!

5/22 クラ・うら・俱楽部~春~

 

音楽を楽しんで頂くプロ、ユアオーケストラによる新しいお楽しみ。それは、クラシック音楽の裏側をお見せする俱楽部、名付けて「クラ・うら・俱楽部」開幕でございます。

では、この俱楽部では果たしてどのようなことを行うのか、その一端を動画でご紹介致します。

 

 

こういったトークを交えた演奏や、クイズコーナー、プロを振れちゃう指揮体験(!)などでお送りする「クラ・うら・俱楽部」

 

詳細は以下の通りです。

日時:5/22 14:00開演(13:30開場)

出演:ユアオーケストラ・カルテット

入場料:大人3,500円 学生2,500円(お支払いは当日受付にて現金のみ)

会場:広尾サロン(東京都渋谷区広尾5-12-3 Tomo,K’yon,Sビル)

 

さて、このクラ・うら・俱楽部。実は次の方々のご協力をもって開催が可能となりました。

 

~人と人をつなぎ夢を叶える~ ONOCASE

女性の社会進出を海を越えて手助けする虹色SCOOP

聖心女子大学学生有志

 

なんと、虹色SCOOPからはこの度特別にお客様へのプレゼントもご提供頂くこととなりました。それは……濃厚ミルクのような舌触りのアーモンドや一口だけでワインがすすむレーズンなどのオーガニックドライフルーツ手のひらサイズ詰め合わせ。この美味しさは決して文章では表すことができませんので、ぜひ会場でお受け取り下さい。当日は、ユア・オーケストラ特製グッズの販売もございます。

そして、最後にお伝えしておかないといけないとっておきのこと……会場内レストランにて「クラ・うら・俱楽部」をイメージしたシェフ特製メニューもご用意しております!(※予約限定メニューのため5/18までにご予約下さい。)

見て楽しい、聴いて楽しい、お口も嬉しい「クラ・うら・俱楽部」

 

※当日の感染対策について

 

ご予約は、このページ下部の問い合わせフォームの本文欄にお名前と人数をご入力の上送信下さいませ。こちらからの返信をもってご予約完了と致します。

皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。