春ですね。今月のクラ・うら・俱楽部は、かのバッハ作曲『G線上のアリア』についてお伝えいたします。まずは軽く混乱を招く、その呼び方から。
この曲は元々管弦楽のために書かれた作品ですが、ヴァイオリンとピアノのデュオでも演奏します。G線とはヴァイオリンの一番低い弦のこと。ヴァイオリニストはドイツ語読みで「ゲー」と発音しますが、この曲を指すときは世間にならって「ジー」と言います。英語を習う前にヴァイオリンを始めていた筆者はしばらく、この呼び方が理解できなかったな……!G線一本で弾くなら「ゲー線上のアリア」のはず……と思い悩んでおりました。
それで管弦楽で演奏する際は『管弦楽組曲第3番アリア』となります。この内訳は、管弦楽(管楽器と弦楽器のための音楽)そして組曲(複数の曲を組み合わせたもの)そして第3番(3番目の組曲ということですね!)最後にアリア(この組曲はアリア含め序曲からガヴォット、ブーレなど他の舞曲と計5曲で構成されています)。この場合においても裏方においては「ジー線」と呼ばれることも多いです。
ヴァイオリンとピアノのデュオで演奏する形は19世紀のヴァイオリニスト、ウィルヘルミが編曲しました。この編曲がとても素晴らしいので今でも多くの場で愛される曲となったのですね。
ヴァイオリンの旋律をG線一本で奏でることで「管組」とはまた違う歌のようにも聴こえます。この曲にはとても思い入れのある方が多くいらっしゃるので、演奏のたびにお客様からの心の声を頂くことがとても沁み入る曲でもあります。何と言いますか、ヴァイオリンの一番低い弦一本で弾くことで自然にかかるポルタメントや指使いとボーイングの性格がそのまま出やすい曲でもあるように思います。
同じ曲なのに編曲によって違って聴こえるなんて、その妙については次回お伝えいたしましょう。