前回は「G線上のアリア」の呼び方についてお伝えいたしました。今回は編曲による聴こえ方の違い、その妙についてお届け致します。ヴァイオリニストとしてまず思い至ることは、音程。この2つの編曲においては旋律の音程の取り方がまるで変わります。その大きな理由として
・旋律の役目がヴァイオリン一本になっていること
・バスがチェロとピアノで変わること
この2点が挙げられると思います。
それは、ヴァイオリンとピアノの場合は”ヴァイオリンが旋律、ピアノが伴奏”。そして管組は第1ヴァイオリンからチェロまで合わさった正に調和の世界で、旋律と伴奏というふうに単純に分けることができません。では具体的にどう変えていくかというと、デュオの場合は音程を旋律的にとっていきます。旋律的にとは、ほんの少し音程を高めにしたり低めにしたり……まるで塩加減のようにピアノに対してほんの少しだけ味をつけるかのように変化をつける。出だしの「ミ」の音は少しだけ高めにするのが筆者の定石、そうすることでG線一本で弾いたときにもそれぞれの音が饒舌に語りだすかのような表情をつけたいと、そう思います。もちろんヴィブラートは幅広め。
比べて管組のほうでは一番心掛けていることは他のパートと音が馴染むこと。溶け合う音程で決して音が際立たないように弾いていきます。そしてチェロ。チェロがどのように音楽を運んでいくか、弦楽四重奏でも演奏することが多い曲でもありますが、四重奏だと特にその「運び」はこの曲の命ともなる……!このことを音と言葉でも語らい合う満ち足りたリハーサルができたとき、初めてお客様にも得も言われぬような音をお届けできるのではないかな、と思います。
この「G線上のアリア」弦楽四重奏でしたらユアオケでも比較的開催しやすい曲でもあるので、早く皆様に指揮を楽しんで頂ける機会をご用意できたら、と考えております。以下の画像リンクにユアオケの開催への道のりとその想いを記しておりますので、よろしければどうぞご一読くださいませ。