ベートーヴェン

お客様の声

2021年1月23日に開催したユアオーケストラコンサートの指揮体験コーナーにご参加下さった二人のお客様のご感想と演奏シーンをご紹介致します。

2021年1月23日、広尾サロンでのYour Orchestraスタートアップコンサートに「参加」させていただきました。指揮もできるということで、少し勇んで足を運びました。実は、この日、別のコンサートを聴く予定だったのですが、ご縁を感じそちらをキャンセルして伺った次第です。 会場に着くとたちまち、9人の皆さんが奏でる豊饒な響きに心を奪われてしまいました。コロナ禍で、クラシックファンはコンサートホールに行けない「飢え渇き」があったため、生音を聴くことのよさを再認識していることと思います。つまりは、何かのコピーではなく、一回限りの芸術体験ということですね。今回、私はまさに「快」の体験をさせていただきました。 指揮のほうはご指摘のあったとおり、曲が進むにつれてテンポが遅くなってしまったようです(アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク第1楽章)。音こそ出しませんが、指揮はまさに「演奏」だと思い知りました。 このような試みのコンサートはユニークで有意義だと思いますので、これからもぜひお続けください。今日はありがとうございました。~

~本日は図らずも、J. S. BACH の不朽の名作で弦楽オーケストラの指揮初演の経験を賜り誠にありがとうございました。私は中学高校で吹奏楽を経験しており、上級生の時に指揮をやっておりましたが、その経験以来数十年ぶりの指揮でございました。事前にカラヤンのYoutubeで予習していましたが、フルコースはABABの形式でして、本日はA部分だけでしたが十分堪能させていただきました。この音楽は人生の最終局面での達観した雰囲気を持っていると思いますが、走馬灯の様に思いを巡らした後の静けさの処理がポイントでしょうか。最後に対旋律も無く最終音の簡素な和音をいかに静かに美しく終わらせる事が出来るかどうかが重要だと思っております。是非素晴らしい作品を世の中に普及させましょう。~

1/23 オケの始まり③

彼は病院にいるから、なかなか連絡ができない。携帯電話を使うのも院内では一苦労だ。お互いに着信履歴を残すことで意思を伝え合うようにしていた。彼からの着信があった数秒後内ならまだ彼に電話を取ってもらえる可能性がある。そんな綱渡り状態で連絡を取り合っていた。

「駄目だ。医師から駄目だと言われた」

「昨日、決行すると連絡したばかりですよ」

「わかっている」

彼女は一生懸命考えていた。もう本番1週間前だ。ここで中止にするとしても損失が大きい。お金も機会も次への繋がりも全て失う。

「……最悪、オケだけの映像撮影としますか」

「それでもいい。やらなきゃ駄目だ」

「ですが、最良なのはちゃんとあなたに振ってもらうことです。メンバーもそれを望んでいますし、このオケはそのためのオケです」

「週明けに医師に相談してみるよ」

「そうして下さい。関わっている人たち全てがここにかかっています。このままでは彼らの信頼も失います」

また来た、ずっと頭が締め付けられるこの感じ。これのせいで、寝ていても目が醒めてしまうんだよな……。

そうして迎えた週明け。彼からの連絡を持って改めて決行できることとなったこの演奏会。あまりに激しい展開に彼女も告知や案内がほとんどできず、またコロナの影響もあり数名の指揮体験希望者だけを観客に開催された。オケのメンバーに事の詳細を伝えたらみな驚き、だがとても良い演奏をしてくれた。その後、病院に戻った彼からは喜びの電話がかかってきた。

「とんでもなくレベルが高いメンバーだな!振れて良かったよ!次はベートーヴェンの交響曲7番だ!」

ベト7……いくらかかるかな。ぼんやりと計算しながら彼女は次の指揮希望者との打ち合わせに向かった。あの始まりの日と違い、空は青かった。(終)

オケの始まり①

オケの始まり②